千葉ジェッツに見る、SVリーグのベンチマークとしてのBリーグ

Vリーグトーク
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SVリーグで取り戻してほしい、相手との応援合戦文化

そして応援についてなのですが、BリーグはMCの依存度がより高いんですよね。プレーがずっと続いてしかも目まぐるしく攻守が入れ替わり、得点も頻繁…。慌ただしいわけで、となるといわゆる応援団的な人が仕切るよりはMCが主導…というより完全に進行ですね。まさにMC(Master of Ceremony)です。

バレーボールだと得点時はその後のサーブまで少し間があるのでそこでコールができますが、バスケだと何ならコールしているうちにシュートにまで持ち込まれてしまうくらいスピードのある競技なので、得点でいちいち喜べないというのはあるのかもですね(3ポイントとかは別)。

何よりホームのMCがマイク使って進行し、しかも絶え間なくBGMが流れていますから完全にホーム一色。これはこれで楽しいと思います。ホーム一色に染めるということは、そこに行けば自分の仲間しかいないということ。アーティストのライブもそうですよね、敵とかいませんから(笑)。

ただ、個人の考えですが、ホーム一色がいいかというとそうでもないと思うんですよね。相手(敵)がいるから盛り上がる要素ってあるじゃないですか。野球もサッカーも、少ないながらもいるアウェイチームのファンの応援に負けじと盛り上がる。例えば自チームの失点時で静まり返っているときに相手チームファンの歓喜の声とか聞こえてきたら、そりゃ悔しいですけれど今度は彼らが静かになるようにしようという(あくまで)いい意味での対抗心も生まれますし、またそれはそれで「これが試合(=勝ち負けが存在する)」と思い知らされますし、何より勝ち負けがあるからスポーツ、なんですよね。

もしかしたらBリーグが一般の方も取り込んで盛り上がっているから、それに倣うということなのかもしれません。そこはわかります。ただ、バレーボールという競技に即した、そして男女両方あるSVリーグならではの観戦・応援文化を築いていくことも必要ではないでしょうか。ましてやセリエAとかでは、サッカーみたいに客席がゴール裏みたいになって応援している文化もあるわけですし。

Bリーグは男子のリーグなので女性ファンが多いと思います。その点はSVリーグ男子と観客層が近いのでそれを取り入れるのはわかるのですが、それを深く考えずそのまんま取り入れてないかというのと、女子にも当てはめようとしていないかな…と。

あと何より、私は大河チェアマンにどこか相手チームの応援を認めず、さらには自前の応援団よりMC主導を重視してホーム一色を目指す姿勢を感じるんです。でも彼もJリーグにいたことがあるので、アウェイチームの応援のある風景は知っているんです。それを否定するかのような姿勢(そう見えますよ)がちょっとわからないんですよね。特にSVリーグになる前のVリーグはお互いの応援を尊重する文化がありましたからなおさら。

そう、SVリーグになる前のVリーグ───。
試合前にはまず両チームの応援団長によるエール交換があり、相互で応援練習をした後、試合中はお互いの得点時に音響を鳴らす…。音響だって応援団が自前で持ち込んでいたわけです。しかも個人的にびっくりしたのが、両チームの団席が通路を隔てているだけで、サッカーとかにある緩衝帯がなかったんですよね。チームによっては応援団同士の交流もありましたし。

それはバレーボールという競技が持つ特性もあったのかなと思います。それは、前にも書きましたが選手が交わらないということ。選手同士がぶつかり合ってヒートアップしたりすると、ファンもつられるじゃないですか。バレーボールってそういうのがあまりないので。男子だとまれにネット越しでヒートアップとかはありますが、それでファンまでヒートアップってあまりない気はします(試合後にSNSでヒートアップすることはありますが…)。

一つ屋根の下で、目の前で頑張っている選手を応援しよう、というのをどこか相手チームのファンと共有しているくらいの感覚があったんですよね。敵味方以前にバレオタだよね、みたいな(私だけかもしれませんけどね)。ロングラリーには両チームから拍手が送られますし、共有というよりは共鳴と言えるかな。そういうのがバレーボールという競技で大きな要素を占めていると思います。

対戦相手の応援排除というのはそういうバレオタ文化、もっと言うとバレーボールの魅力すらも取り払ってしまった気がしてなりません。

もちろん文化はファンも作っていくものなんですけれど、それを阻害していないかなと今のSVリーグを見ていて思います。

 

最後に一言言わせてください。
2023/24のVリーグ女子ファイナルは、それまでのMC主導のファイナルではなく両チームの応援団がそれぞれ主導してMCが脇役に徹するという大会でした。推しのチームが出ていたというひいき目を差し引いても、大舞台でも両チームの応援団主導でこれだけ盛り上がるということを証明した試合だったと思います。

あれを大河チェアマンに見てほしかったな。まあ見た上での今の方針ならこれ以上何を言っても無理でしょうけど、何かを感じてほしかったです。

新しい文化。共に作っていきませんか?