2025年11月23日───。アルテミスのスタッフの元気な声が響き、北ガスアリーナ札幌46の入場待機列は前日の初勝利の余韻と共にまだまだ幸せな空気に包まれていた。北海道イエロースターズとの共催の関係で前日は15時開始、この日は11時開始ということで前日の余韻がまだ色濃く残る一方、選手の疲労もまだ取りきれていない、そんな時間だった。


ただ。福岡ギラソールとしてはこの日は初勝利をあげる絶好のチャンスだった。前日は1ー3で敗れたものの一セットを取り、第四セットもデュースと相手を追い詰めただけに手応えはあっただろうし、アルテミスは間違いなく昨日のVリーグ昇格後の二年越しの初勝利にホッとした部分もあるはずだ。とはいえここは相手チームのホーム。時間にもかかわらず会場には前日を上回る1915人が駆け付け、道民は地元のチームの二勝目を願っていた。
アルテミスは前日から、途中出場で活躍の目立ったMBの杉浦文香選手をスタメンに切り替え、ギラソールは攻撃陣を在家涼風選手から鶴上ひまり選手に、前日はMBとして出場した長畑蒼衣選手を髙山侑花選手に替えてOPに起用するなど、両チーム共に替えてきた。前日の勢いをそのまま持ち込みたいチームと、前日から流れを変えてきたチーム。対照的だった両チームだが、第一セットはギラソールのペースに。アルテミスはまだ前日の余韻が残っていたのかもしれないし、選手を替えてきたギラソールの方が体力的には少し有利だったのかもしれない。だが、24-17と7点差をつけてのセットポイントでこのままギラソールが取るかと思いきや、アルテミスがまさかの6連続ポイントで、24-23と追い上げられた。アルテミスの少し遅い目覚め、といったところか。




だが、結果的にこれがこの試合のハイライトだった。アルテミスの勢いに飲まれずこのセットを取ると、その後も競った展開ではあったものの終始ペースを握った。一勝したチームと一勝したいチーム、その違いだと見ていて思った。第二セットもギラソールが取り、第三セットも競った展開だったが、22-20と初勝利をグッと近寄せた中で、ある選手が投入された。

髙山侑花選手───。